【論文・文献メモ】3次元計測に基づく大規模点群処理の課題と技術動向
情報
- タイトル
3 次元計測に基づく大規模点群処理の課題と技術動向 - リンク
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/79/5/79_384/_pdf/-char/ja
メモ
工学分野で大規模点群処理が有用と考えられる応用分野
- 工場やプラントの大規模設備の保守や改修の支援
- 電力,通信,交通などの広域な設備の保守と管理
- 現況(現物,現場,資材など)の管理と保全
大規模環境のための点群処理
固定式レーザスキャナ
- 計測原点から可視となる部分の点群だけが得られる
- 機種によっては,各点にレーザ反射強度や RGB 値 をもたせることが可能
移動計測
- レーザスキャナを移動体に搭載して広域なエリアを計測する
- 手動による処理は現実的ではなく,自動処理が強く求められる
工場・プラントを対象とした点群処理
研究の方向性
- 固定式レーザスキャナは,プラントや工場の高密度点群を取得するために有効
- 2つの方向性
- 既存の CAD/CAM/CAE の入力になるように点群 データを面モデルや立体モデルに変換し,作業検討 のシミュレーションなどは既存システムに任せる
- 高密度な点群による形状表現に基づいた新しい生産支援システムを構築する
- これまでの研究は1が多かった
- 解決すべき大規模点群処理の問題の設定は多く残っている
研究の現状(主たる技術)
- 近傍探索
- KDツリー
- オクトツリー
- 前処理
- 点の精度が低く異常値が多い場合,前処理として点群の平滑化が必要
- 点群処理では,移動最小2乗法
- 異常値に弱い
- 異常値の多い大規模点群ではロバスト推定を用いて実現
- Tukeyバイウェイト法など
セグメンテーション
- 大規模点群処理では,複数の物体が混在した点群データを対象物ごとにグループ化することが重要
- 古典的な手法
- 近傍点の集合に対して主成分分析を施し,主成分方向と固有値の比を用いて点群をグループ化
- 連結成分を用いる方法
- 曲面検出を用いる方法(RANSAC法)
曲面検出
- 平面と円柱の検出がよく行われている
- 領域成長法とRANSAC法
今後の研究課題
- 面の連結による形状再構成
- 形状の規則性を利用した形状再構成
- パターン認識を用いた形状再構成
- レジストレーション
工場・プラントを対象とした点群処理
研究の方向性
- 応用分野
- 路面・トンネル・橋などの保守
- 電力・通信設備の保守管理,標識・信号などの保守管理
- 3 次元地図作成,Webでのサービス
- 以下のような情報を取得することが求められる
- 道路周辺の地物の種別と位置
- 路面やトンネルなどの現況や劣化
- ガードレールや標識などの現況や劣化
- 移動計測用のレーザスキャナはまだ十分に高速とはいえず,小さい凹みやクラックなどを検出するには低速での走行が必要
研究の現状と研究課題
- 移動計測で得られた点群は,大別して,路面と地物に分けられる
- 路面は,ほぼ平坦であり,端に行くほど徐々に低くなる性質がある
- これに基づいて点群の Z 座標の変 化を調べることで,路面抽出は比較的容易に行える
- 路面が分離できれば,それ以外の点群に対してKDツリーを用いて近傍探索し,点群を地物ごとに分離することがで きる
- 離した点群から地物の種別を同定するためには,点群から柱状部分や平面部分を検出して対象物を推定したり,また特徴量ベクトルに変換してパターン認識を行う
- 点群から複数の特徴量を抽出し,サポートベクターマシンやランダムフォレスト
- 画像と併用することで認識率を向上させられると考えられるが,まだ研究例は少ない
- どのような特徴量が有効かについてはまだ研究の余地有り
- 形状の種類が同定できれば,次に,点群に適合するように,形状を再構成する
- 柱状物体,ガードレール,標識については研究がなされているが,成功率はまだ高いとはいえず,信頼度の高い手法の開発が必要
- 移動計測においても,レジストレーションの問題が存在
コメント
- 大規模点群処理の技術と課題の概要が把握できた
- 2013年の資料なので状況は変わっているかもしれない